トイレの女神様

まこと密かに囁かれている噂がある⋯ とある駅の、とある公衆トイレ、一番奥の個室に拘束された女がいて何をしてもいいらしい。 だが、タブーもある。 ・女の拘束を解くこと ・口枷を外すこと ・連れ帰ること 上記3つを破った場合は、何が起きても保証しないとか。 今いるココがその駅だ。その公衆トイレはホーム後方のさらに後ろの階段を下り、さらに奥にある。ココは乗り換えの別路線や改札からも離れており、まず来る人はいない。噂の女がいるにはもってこいの場所だ。 公衆トイレに入り、様子をうかがう。静寂の中に人の息遣いがかすかに聞こえる。一番奥の個室のドアだけ閉じている。カギはかけられていないし、利用者ではないだろう。 意を決し、個室のドアを開け放つ…そこにはここに似つかわしくない美女がいた。 ほんとにキミが、うわさの？ (口枷をしていて話せない女が首を縦に振り頷く) 周りを見ると、カバンと横に紙切れが置かれていた。 「彼女をご自由にお使いください。カバンの中のモノもよろしければ☆」と書いてある。カバンにはありとあらゆるプレイ道具が入っている。 これはやる以外の選択肢はないな⋯(にやりと笑う)

篠田麻里子